Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
山野うさぎさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。
A1
代表作は、マグカップと湯呑み「ころんとカップ」です。
もともとは陶土でうさぎのオブジェを制作しており、その際の毛並み表現を活かして器に取り入れました。
可愛らしさと優しさを感じられる、どなたにも親しまれる表情やフォルムにするまでに一年ほど試行錯誤を重ねました。
制作初期には、当時アルバイトをしていたうさぎ専門店の店長に試作品を見せ、耳の長さや顔の丸みなどについて助言をいただきながら改良を重ねたことも、現在の形につながっています。
湯呑み「ころんとカップ」は、両手でうさぎを包み込むように愛でながら使っていただきたいとの思いから名づけました。
マグカップは丸みのあるフォルムと持ちやすい取っ手にこだわり、たっぷり容量を保ちながら軽やかな使い心地を実現しています。
近年は垂れ耳のデザインも加わり、より多くの方に“推しうさぎ”と出会っていただけるシリーズとなっています。
Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。
A2
もう一つご覧いただきたいのは、うさぎのオブジェ作品です。
器と並行して現在もオブジェ制作を続けており、毛並みの質感や生き生きとした仕草を表現することに力を注いでいます。
日々の暮らしに寄り添う器とは異なり、オブジェはうさぎそのものの存在感や愛らしさを伝える大切な表現の場となっています。
特に目と舌の表現は、多くの方の目を引いて頂けるポイントになっています。
最初は口元は閉じた造形でしたが、開けて表情を加えることで好評をいただき、現在は積極的に取り入れています。
目の部分は「ビー玉を入れているのですか?」と尋ねられることもあり、海外製の透明度の高い釉薬を使い分け、丸くうるっとした質感を出しています。
絵を描くことが得意なので、必ずスケッチをしてから制作に取りかかります。
写真通りに再現するだけでなく、自分の記憶の中にある「最高に可愛い表情」とリンクさせ、一番可愛い瞬間を作品に映し出せるよう心がけています。
また学生時代に学んだ油絵の経験を活かし、陶芸用の絵の具や顔料を水彩画のように扱うことで、やさしくもリアルな色合いを追求しています。
Q3
山野うさぎさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。
A3
大きな存在は、やはり「うさぎ」です。
幼少期から大学生まで10年間を共にした「ミミピョン」が私の原点であり、その後の制作を大きく後押ししてくれました。
現在は実家に2匹、自宅に1匹のうさぎと暮らしながら制作に励んでいます。
この写真は実家で暮らすうさぎヨーコとリンダです。
現在の作品づくりのテーマは「うさぎのいる生活を届けること」です。
うさぎが特に好きでない方でも、作品の可愛らしさをきっかけに迎えてくだされば、その家には「1うさぎ」がいることになります。
自分自身が使いたいと思えるものを形にすることから始まり、うさぎ好きの方にも、まだうさぎを知らない方にも、
「うさぎってこんなに可愛いんだ」と感じて頂けるよう、可愛い作品を作り続けていきたいです。
応募用紙を拝見した時、ちょっと驚きました。
描かれていたり、形作られているのは「うさぎ」のみなのですが、
単なるキャラクターではなく、バリエーションが豊かで、「うさぎ」愛の本気度がハンパなく感じられたのです。
(同一アイテムをキャラクター的に表現されていたら、この場には合わなかったと感じたと思います)
出展が決まり、実際に作品を拝見したり、個展へお訪ねしたり、お話を伺うほどに、制作への取り組みの真剣さに引き込まれました。
若くこれから切り拓いて行かれるものづくりの道、「工房からの風」での来場者の皆様、他作家の方々との出会いが、佳き滋養になることを願っています。
山野うさぎさんの出展場所は、コルトン広場、モニュメントの近く。
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工房での制作光景はこちらの映像をご覧ください。
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映像編集:いとうゆり